今はなき映画館でのアルバイト経験！仕事内容にも100年の歴史を感じる福井シネマスタッフの記憶とは？

こんにちは！あるバイの中の人です！

かつて福井市、福井城址大名町駅から徒歩2分の場所にあった福井シネマは、昭和の面影を色濃く残した老舗映画館として、多くの市民に愛されてきました。
惜しまれつつも2018年に閉館し、現在はその姿を見ることはできませんが、当時この映画館で働いていたアルバイトスタッフの記憶には、はっきりとその日々が刻まれています。

今回は、映写やチケット販売、館内清掃などを担った経験者に、仕事内容や職場の雰囲気、映画と共に過ごした濃密な日々についてお話を伺いました。

当時の福井シネマの空気を、少しでも感じてもらえたらうれしいです。

• 年齢：20歳
• 職業:：大学生
• 性別：女性
• 働いていた時期：2005年
• 働いていた期間：2年
• シフト：基本的に週4、多い時は週5の時も。

Ａ．大学の教務課の掲示板にアルバイト募集の張り紙がしてあり、仕事内容に興味があったので応募しました。
時給や勤務時間などはあまり重視せず、映画が好きだったので、とにかくやってみたいと思って挑戦しました。
当時から県内には映画館はそれほど多くなかったので、バイト募集のタイミングも少なく、このチャンスはなかなか無いかもしれないと思いました。

応募した福井シネマという映画館は昔ながらの映画館で、子供の頃にアニメ映画を観に行った記憶があったので、勝手に親近感と愛着があって是非可能ならそこで働きたいと強く思いました。
張り紙に書いてあった連絡先に電話して、面接の日取りを決めてもらい実際に映画館に履歴書を持って面接に行くことになりました。

Ａ．当時は大学生で家庭教師のアルバイトをたまにしていましたが、３年生くらいになると単位も取れてきて空き時間をもっと有効活用できるようになってきたのでアルバイトを増やそうと考えていました。
昔から映画が好きだったので、子供の頃からよく通っていた映画館でアルバイトできるなんてすごく嬉しいと思いました。
絶対面接に受かりたいと思って応募しました。

本当は映写の担当になりたかったですが、最初はもぎりなどの受付業務でも映画に関わることなら何でも挑戦したいと思っていました。
次に上映する映画のポスターを張り替えたり、いろんな映画の主題歌が流れる中で掃除したりする、些細な仕事でも楽しそうだと感じてワクワクしていました。

Ａ．事務所で支配人の面接を受けました。
基本的に持参した履歴書に目を通しながら質問されるという形式でしたが、あまり深い事は聞かれず、おそらく話し方や表情などを見られているような感じがしました。

Ａ．公開する前の映画の試写を特別に観ることが出来る機会が何度かあったことがすごくよかったです。
つなぎが上手くいっていないところが無いか、どこか変なところが無いかなどを確認するためのものですが、ほとんどそのようなことは無いので、映画にのめり込んでそのまま楽しむといった時間でした。よい映画に出会えた時は家族や友達と一緒にもう一度観に行くこともありました。

また、たまに主演の俳優さんや、監督さん、原作者の方などが劇場に来て下さって試写会イベントがあることもありました。
特に地元出身の方がいらっしゃる場合が多く、花束を渡したり、少しお話出来たりもして、とても貴重な体験ができたことも嬉しかったです。
公開する映画の情報を早く知ることが出来たのも良かったです。

Ａ．映画館での仕事内容はそれほどキツイものは無かったですが、一つだけ怖かったことがありました。
当時アルバイトしていた映画館は入場者数がそれほど多くはなく、普段は落ち着いたというか閑散とした時すらありました。

ただ、学校の春休み、夏休みなどの期間中に人気のアニメ映画の上映をするときなどは、まれに込み合うことがあります。
その時に、物販コーナーでアニメのグッズやポップコーンなどを販売する担当に入っていて、混雑する中お客さんの対応をしていました。

すると、可愛い女のお子さんがグッズをどれにしようか迷っていて、ショウケースの中を見つめている間に、中学生くらいの男の子がポップコーンを買いたいと差し出してきたので販売しました。
そうしたら、女の子のお父さんがこっちが先だろうと怒鳴ってきてめちゃくちゃ怖かったです。

怒鳴り方でそっち系の人だと分かったので、やばい死ぬかもしれないと思ったくらいに必死でした。
その時は何とか耐えましたが、落ち着いた後に他のバイトの人と話しているときに泣きそうになりました。
その時に、上司の人から、そういう時は怖そうな人優先にすればいいと教えらえました。

もう一つは、子供向けの映画の時の休憩時間の掃除は少し大変でした。
ポップコーンが散乱しているときが多かったからです。
でも、休憩時間にかかる主題歌のおかげで励まされてそれほど苦ではありませんでした。

Ａ．朝から入る時は、まず閉めてある物販を開けてお釣りを準備したりします。
自動販売機の補充もします。
場内やトイレの掃除をしてから、受付に入ってお客さんを迎えます。
入場料をもらって、会員カードにスタンプを押します。
映画が始まったら扉を閉めます。

映画の上映中は、基本的に受付にいて待機していますが、近くのポスターの張り替えなどをしたりもします。
物販を買いに来るお客さんもいるので対応して、補充などもします。
チラシのラックもチェックして少なくなってしるチラシを追加したりもします。
その日の上映分の映画が終わると、物販を閉めて、お金の計算をして本部に持っていきます。
お金の計算が合っていれば、そのまま終了です。

基本的に入場者数によって忙しさが全然違うので、すごく暇な時もあれば対応しきれないくらい大変な時もあります。
たまにあることは、お客さんが1人も入らない上映回がある時です。
そんな時は、映写技師の人に連絡して、最初の15分くらい経った後に上映を中止してもらうことになっていました。

Ａ．当時は映画館のもぎりや受付や物販を担当していたのですが、映写技師の人にマンガ家志望の人がいてすごく興味津々だったことを覚えています。
ある時、いつもと違うオシャレな格好をしていたので聞いてみると、ルパン三世のコスプレイヤーの集まりに行くと言っていました。
個性的でクセのある人もけっこういて面白い職場でした。

それと、これはあまり大きな声では言えないことですが、ある上映回にお客さんが1人しか来なかった時があって、支配人がその人に映写室でトラブルがあって上映できなくなったと言い、招待券を渡して帰ってもらったことがありました。
おそらく一回分上映する電気代や諸々の経費と天秤にかけて支配人が考えた事だったと思うのですが、ちょっとそれはひどいのではと思いました。

Ａ．研修は、教えてくれる担当の人がいて覚えるまでいろいろ指導してくれました。
最初は一度に覚えることが多くてすごく不安でしたが、その担当の人がとてもいい人で、自分が初めて入ったころにまとめていた自分用のファイルを貸してくれて、細かな仕事内容を丁寧に伝えてくれました。

また、業務で困った時は、基本的に受付に1人しかいない場合はその場を動けないので、電話の内線で聞いたりしていました。
その時も、別の館では違う映画が違うタイムスケジュールで上映されているので、上映と上映の間のお客さんの入れ替えがある忙しい時間帯にかぶらないように気を使いました。
また、たまに映写室から技師さんが下りてきて、様子を見に来てくれる時もあったので、分からないことをその人に聞けたりもしました。

Ａ．映画好きの人が集まっていて、すごく和気あいあいとした雰囲気の職場でした。
一人の作業と、複数人でやる仕事のバランスが丁度よくて、居心地がいいと感じていました。
もぎりなど受付の人は女性の方が多くて、映写技師の人は女性もいましたが男性の方が多かったです。

個性的な人も多くて、映画の他にも知らないマンガやドラマのことまでいろいろ面白い話を聞けました。
それぞれで、日によって受け持つスクリーンの受付が違ったりするので、入場者数が少ないスクリーンなどは全部1人で対応したり、逆に入場者数が多い館の担当になると、2，3人で入るので上映中の合間の余裕がある時におしゃべりしたりして、すごく楽しかった思い出があります。

Ａ．時給は当時750円程度だったと思います。
ほとんどない事でしたが、奇跡的に上映中の映画が大ヒットして沢山お客さんが入ると、大入り袋というものをもらえました。
すごく期待して開いてみたら1000円入っていて、がっかりしてはいけないと思いつつも期待外れだったことはあります。

シフトは基本的にシフトを決める担当の人がいて、こちらから申し出たNGな日以外に適当に割り振られます。
パートの主婦の人や、若い人、大手の企業をやめて入った人など様々な人がいたので、シフトの入り具合などは月額の収入に合わせてそれぞれで希望を出し合っていました。

Ａ．だいたい週4で入れていたので入りやすかったです。ヒット映画が来た時などの忙しい時は希望以上に入る時もありました。

Ａ．そこで働いている人は共通で黄色いジャンパーを支給されて着ていました。髪型は特に規定はありませんでしたが、当時はあまり明るい色はNGだったと思います。

Ａ．上映前の映画を観られることがありました。売れ残った映画のグッズなどももらえることもありました。

Ａ．高校生の方に向いているバイトだと思います。
新しい映画の情報がどんどん入ってきてワクワクしますし、予告編でも本編でも作品に触れる機会が多いので、映画好きの人にとっては嬉しい職場環境だと思います。
やることもコンビニほど多くはないですし、元気に頑張れる職場だと思います。

Ａ．大学生の方にも向いているバイトだと思います。
土日に忙しい時期が重なるので、授業との両立もしやすいと思います。
上映と上映の間の忙しいタイミングと、上映中の静かな時間のメリハリがあるので気分転換もしやすいです。

映画好きの人の人が集まっている楽しい職場なので、居心地がすごくいいと思います。
どんどん新しい映画の情報が入ってくるので、業務内容は同じようなルーティーンだとしてもあまり飽きることがありません。

上映開始前の掃除の時にかかる音楽も、映画ごとに違ったり、ポスターやチラシもどんどん入れ替わるので、興味のある映画を発見したりワクワクしたりする時間が多いです。
特にクリエイティブな仕事が好きな人にとっては、自分のやりたい事や仕事のヒントや励みになるものをもらえることもあります。
お客さんの見終わった後の表情を見て、共感したり、いろんな想像をすることも楽しい事の一つです。人を観察することが好きな人にとっても、よい職場だと思います。

福井シネマは福井市、福井城址大名町駅から徒歩2分の場所に大正8年からある映画館で、地震や空襲も乗り越えた歴史ある映画館なんだそうです。
2018年に惜しまれて閉館になったようですが、約100年の歴史がある映画館として当時は新聞などでも大きく報道されたそうです。
そこで働いていたこの方は大変貴重な経験をされたということですよね

現在はもうない映画館にはなりますが、今まだ残っている全国の老舗のミニシアターなどでアルバイトを考えておられる方の参考にはなるのではないでしょうか